脳内血流を上げるには、NHK「東洋医学ホントのチカラ 」2020年2月5日放映

うつ病に対する鍼灸の有効性に関する研究論文は日本よりはるかにイギリスのほうが多くて研究が進んでいます。

イギリスでは、うつ病の3割の患者は薬を好まず服用を止めてしまうそうです。

そこで、イギリスのヨーク大学の ヒュー・マクファーソン （Hugh MacPherson）教授による 研究 755 名のうつ患者（中～重度）を

グループ1：投薬に加え12週間の鍼灸の治療を受ける

グループ2：投薬に加え12週間のカウンセリング治療を受ける

グループ3：投薬のみ

の3群に分けました。

すると、グループ１と２は同等のうつ症状の大幅な改善効果 が見られました。

つまり「鍼灸はカウンセリングと同等の効果が有る」と言えるのです。

日本ではうつに対する臨床研究が始まったばかりですが、薬やカウンセリングによる効果が無かった患者でも6～7割の人に鍼灸の効果があっ たとの報告があります。

人間に鍼灸を行った後に、前頭葉の血流量に急激で大きな変化が測定されています。

前頭葉はうつに大きく関与すると言われていますが、なぜ、うつに鍼灸が効くのでしょう か・・・

動物実験では、 動物にストレスを与える → 脳内に炎症物質が増加 → 神経活動・脳血流 の低下が見られました。

つまり、鍼治療 → 脳内血流増加 → 血液が脳内の炎症物質を洗い流す → うつ症状改善 が起こったと考えられます。

以上がNHKの「東洋医学ホントのチカラ」でのうつ病に対する鍼灸の効果の要点です。

実験では鍼治療によって脳の血流を改善させておりますが、指圧・マッサージでも脳の血流を改善することは出来ます。

鍼や指圧・マッサージで筋緊張の解消やリラクセーション効果による血管拡張は、脳血流の みならず、全身の血流を向上させます。

咬筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋などはストレスによる筋緊張が生じやすいですが、個々 の患者さんにストレスがかかった際に、どの筋肉が緊張するのか見当をつけ、それ らを外せない施術対象とします。

また鎖骨上の上のくぼみである鎖骨上窩は索状硬 結が生じやすく、胸鎖 乳突筋の前縁には頚動 脈洞が有るのでこれら 周囲の筋緊張を緩和し 血流を向上させます。 ふくらはぎの筋ポンプ の低下による下腿浮腫 は血流を低下させるので、下肢への鍼灸、指圧・マッサージも必須。

粗暴な手技は患者さんにとってストレスになる恐れが有るので、リラックス 出来るよう心地の良い味付けの施術を心がけます。

定期的な鍼灸・指圧マッサージ施術が必要ではありますが、抗うつ剤の量を徐々に減らしていくのが最初の目標となります。